インドネシアのバリ島にある『グリーン・スクール』を視察してきました。
ここは、子供達にホリスティックで本質的な教育を提供している教育機関です。ここでの子供達の様子や、教育方針について、写真とともにご紹介します。
この学校には27カ国から集まった子供達がフルタイムで通っていて、未来の地球環境を考えられる人に育てるための教育を受けています。
それとは別に、不定期に「グリーンスクールキャンプ」という数日間の体験キャンプがあります。
“環境を大切をにして自然と共に生きること”について、子供達がエコロジカルな暮らしを実際にしながら学ぶことができるキャンプです。
校内はこんな感じ、竹でできた建物
グリーンスクールの建物は、全て「竹」でできています。
生徒達の机も机もそうですが、お手洗いや橋も全てバンブー(竹)でできているのです。
竹はとても強度がありインドネシアの伝統的な竹技術でしっかりと作られています。
クラスルームのある建物はおもしろい形をしていますが、見ているだけですごく自然体になれる気がしませんか!?
床もすべて竹製です。
はだしで入る教室でしたが、足の裏がとても気持がよかったです。
流れの荒い河の谷間を通って学校に入るための橋も竹のみでできていました。
たまたま、黒板に「家族の歴史」についての授業のことが書いてありました。
お母さんのお母さんのそのまたお母さん.. 自然を学ぶことに含まれている大切な事だし、同じこととも言えます。
これ↑、子供達が創ったものなんです!
自然と共に学び、自然と共に生きる。
ホリスティックな教育機関がもっともっと増えたらいいな。こんな学校に通ってみたかった。
かわいらしい竹細工の椅子が並んでいました。
ここでのランチなどカフェで食べれる食べ物は、全てこのグリーンスクールの敷地内で子供達がつくり収穫したもののみで調理されます。
グリーンスクールの敷地は広大ですごい
これまで、グリーンスクールの教室部分をご紹介してきましたが、敷地全体はとても広大です。
敷地全体はこの様に↓とても広大です。
中央の渦巻きみたいな丸い屋根の建物が、先ほどの竹でできた校舎になります。
こちら↓は、グリーン・スクールの創設者ジョン・ハーディー氏。
鳥を手の上に乗せ、絶滅の危機にある白い鳥(名前忘れました...)の鳥舎の前でレクチャーしています。
この美しい鳥は雄雌のペアーで2000ドル(20万弱)で売れるので、乱捕獲されてしまい絶滅の危機に瀕しているのだそうです。
グリーン・スクールで飼育して毎年300羽の白い鳥を自然に放っているそうです。
広大な敷地の中には、その中だけで充分生活できるような、エコロジーな発電所や水の浄水所、それから畑とか家畜小屋もあります。
すべてここだけで生活がまかなえるようになっているのです。
子供達がそんな事を体験できるなんて、なんて素晴らしいシステム!
黒豚の子豚達。白ブタよりずっと美味しいと言ってました。
でもインドネシアでは「黒」を忌み嫌う風潮があったために、現在では黒豚はほとんど食されなくなったそうです。
その背景には、深い差別の思想が見え隠れしています。
インドネシア人の女の子は顔をみな「ブリーチ(漂白)」することに懸命だそうですが、それはなぜかというと色白の方が「美人」とみなされるから。
色の黒い女の子は学校でも虐めの対象になりやすいのだそうです。
ハーディー氏が懸念しているこの差別意識。
やたらと「ホワイトよりブラックの方がベターだ」とおっしゃっていたのですが、何か子供たちにごく自然な考えかたを持ってもらったり、無意味な差別意識をもたないような大人になってもらいたいといった、意図もあるのかもしれないですね。
ターキー(七面鳥)もアヒルもいます。
畑で収穫される食べ物は、生徒達が食べたりカフェテリアで一般にふるまわれます。
ここに通う子供達は、誰からも何も教えられていないのに、なぜか自然にベジタリアンになってゆくのだそうです。
こちら↓は発電のための渦巻き(ボーテックス)ダムです。
川の水の流れを工夫して、下記の写真のように自然にボーテックスができるようにオランダの専門家に設計してもらったもの。
敷地内を横切っている川の側にありました。
(この日は水量が少なかったので小さい渦しかなく写真ではうまく撮れませんでした)
グリーン・スクール敷地内でのエコ生活、自給自足の具体的な方法やフィロソフィーを子供達が自然に身につけていく。
最高の環境の中で、子供達が学ぶ場がグリーンスクールです。
子供達のお母さんやお父さんは、子供を学校に通わせながら自分たちもグリーン・スクールの活動に賛同する気持が大きくなっていき、多くの親御さん達が仕事をやめて本格的にここでボランティア活動をはじめるケースが多くみられるそうです。
なんだか、その気持よくわかる気がします。
そしてこちら↓が、水のフィルタリングシステムです。
最高の天然水がここで作られ、この施設で使われます。
グリーンスクールの創設者ジョン・ハーディー氏は、今後は他の場所にもグリーン・スクールを増やしてゆきたいという展望を持っておられるそうです。
彼は元々シンガポールで宝石商を営んでいました。
現在は61歳になられたそうですが「若い世代の人達も、できるだけ早く自分の想いを行動に移すことをすすめるよ」とおっしゃっていました。
いろいろと校内の敷地を案内してもらいながら、お話しを聞いていて、とても心に残ったハーディー氏の言葉があります。 魂が揺さぶられる想いがしました。
私は教えることもできないし、特殊技術も持っていない。
だけど “自分の想いを形に創りあげる” ことならばできる。
そう気づいた時、グリーン・スクールを設立することに決めました。
人生は短いです。
「想いを形にする」ことは、誰もが実現させたい事ではないでしょうか。
あなたはどんなことを実現させたいですか?
エコロジカルな自給自足ソーラーシステムやトイレが凄い
エコロジカルに自給自足ができるこのグリーンスクールでは、ソーラーシステムや自然を利用したトイレが使われています。
こちら↑の画像をよく見ると、屋根の乳白色の板があります。これがソーラーパネルです。私たちの暮らしの中で見かけるものとは随分違います。
こちら↓はお手洗いの入り口です。
お手洗いは流すタイプのものではありません。
こちら↓がお手洗いの中。
一部屋(!?)に便器が二つありますが、左が小、右が大です。
「小」は桶でお水をちょっと流すだけ。
「大」には、上からおがくずの様なものをかぶせます。
なにより、まったくお手洗いの臭いがしない事に驚きました。
むしろ、竹やその他の植物の香りがしてイイ匂いだと感じたくらい。
エコロジカルな様式は、さまざまな面において優れているのでしょう。
これ↑は、木細工でできたブランコです。
すごいですよね、このブランコ。大人も使えるほどしっかりしています。
もっとビックリしたのが↑これ!
ヘルメットまで木細工でつくってしまうなんて、すごい技術です。
グリーンスクールの教育方針
グリーンスクールでは、エコロジカルな自然との共存で豊かに暮らせるということを子供達に体験させるだけではなく、 幼稚園児から高校生まで、普通の学校教育も行なわれています。
未来の起業家をつくることも教育目的の1つです。
起業家=クリエーティブ=洗脳されていない自由な発想を 持っている大人、ということです。
この方は↑算数の先生。
瞳がキラキラ輝いていたのが印象的な方で、情熱的に、熱く教育について語ってくださいました。
一般の学校では、算数を理解できない子供が必ずいます。
その様な子供達は「自分はバカだ」とか「算数が苦手だ」と いう自己イメージを持ってしまいがちです。
この算数の先生は、自らが開発した「どの子供でも楽しく算数が 理解できる」方法を使ってグリーンスクールの子供達に授業をして いるそうです。
この画期的な方法を使えば、全員の子供達がかならず算数を理解する ことができるという、すばらしい学習法です。
いろいろな形のコーナーがあります。 ぜんぶ木細工や竹でできた手作りです。
ここは来訪者の憩いの場?事務局もあります。
グラウンド周囲の外でも授業らしきものが行なわれていました。
踊ったりして、とっても楽しそうでしたよ。
校内を案内してもらい、フィロソフィーを聞かせていただき、言葉に表せない感動がありました。
バリ島にあるグリーン・スクールは、 存在そのものが、人々にものすごい影響力をあたえる場です。
広大な施設と運営のための資金は
グリーン・スクールでは、子供達の授業料も収入源ですが、主に寄付金(ドネーション)によって運営されているそうです。
そして、収益はグリーンスクール運営だけでなく、インドネシア人のローカルの子供達が良い教育を受けられる様に、寄付しているとのこと。
なぜなら、バリの豊富な自然はバリニーズにしか守れないから。
これは未来の地球の環境を守る“グリーン・リーダー”を育てる為です。
グリーン・スクールを視察しに来た人々に寄付金を募るための、竹でできた「ゲーム」のようなものがあります。
各リボンの色によって、寄付の金額が違います。この中から自分の寄付したい額を選びます。
校内を歩くと、竹柱にいろいろなカラーのリボンがついていますので、自分の寄付した額に応じて、その色のリボンが巻き付けてある柱を探します。
その色のリボンがついた中から一本選んだ柱に、その人の名前を掘ってくれます。
日本人の名前もちらほら見かけました。
オーストラリア人のブリンダは、黄色のリボンの額を寄付しました。
この柱に自分の名前を掘ってもらいます。
「世界人類が平和でありますように」と、各国の言葉で書かれた木細工がありました。
未来の地球環境を守るグリーン・リーダーを育てているスクールらしい風景です。
ココナッツジュースをいただきました。
赤道に近い場所なので、広い敷地内を歩き回り汗いっぱいかいたし、乾いた喉にとっても美味しく感じられました。
各所に、休憩所の様なもの↓がちらほら。
用途は聞かなかったです。
ここバリ島では、木陰に入ると気持のよい風が吹き抜けてゆきとっても気分爽快です。
バリ島に所在するグリーン・スクールを紹介させていただきました。
本質的な人間教育を提供するフィロソフィー、施設の隅々までそれが浸透している事、などに共感しました。
ご興味のある親御さまは、スクールのサイトをご覧になってみてください。
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