失恋すると、とっても悲しいです。
ハートが壊れてしまったように、胸のあたりが痛みます。
大好きな人と別れてしまったから?もう会うことができなくなるから? たしかにそれも悲しみの原因の一つであることには違いありません。
ですが、それより何より悲しみがいつまでも残ってしまう大きな要因があります。
それは、
「相手に自分が伝えたいことが伝わらなかった」から。
だから、ずーっと悲しい感情をひきづってしまうのです。
相手に伝わる伝わらない以前に、自分のその時の気持ちを正確にに言い表すことができなかったジレンマが、膿となって心に悲しみの巣を作ってしまう。
お別れに際して自分の心の内を上手に表現できなかった場合、何年間も悲しみをひきずってしまうことがあるのです。
身体の軟組織に感情が残っている方は意外と多いものです。
失恋のトラウマが残るコミュニケーション例
昨年オハイオ州にあるコロンバス空港で偶然、お別れしたばかりの日本人カップルに遭遇しました。
コロンバス空港はマイナーな空港です。この15年ほど生体音響学のコンフェレンスに出席するために通っていますが、日本人を見たのはこの日がはじめてでした。
きっとその男女にとってもそうだったに違いありません。
だから、私のことを日本人だと思わなかった様で、日本語で、しかも大声で修羅場を繰り広げていたんです。
この日はゲートに入る前の手荷物検査の前に長蛇の列ができていました。
その男女は隣の列に並んでいたので、ず〜っと話しの内容が丸聞こえ。
日本語がわかる人が周りにいないと思ったのか、大声で話していたからです。
内容はこんな感じ..。
この日は、長かったアメリカ生活を終えて女が日本に帰国する日。
アメリカで恋人だった男から、前日に別れ話しをされた様子。でも、空港まで荷物を運びがてらお見送りに来た男に対して、女は土壇場になってもまだごねている。
かなり往生際が悪い。
女性は、 「◯◯のこと、絶対あきらめないからね!」 「ワタシ、絶対絶対あきらめないから!」 を繰り返す。
まるで青春映画のように情動をたっぷり込めた言い方で。
そして、男は「もうそれ(よりを戻す)は無いよ」とか「ムリ!」を繰り返す。
無表情で困った表情をした男性は、まるで目に見えぬ鎧を身につけて防御しているかの様でした。
男性が途中でお手洗いに行ったのですが、待っている間に女性に「作戦会議しましょう!」と声をかけたい衝動を懸命に抑えました。
コミュニケーション101:
相手の気持を察しながら対応しよう!
別れたがっている相手に対して、あんなふうに押して押して押しまくったら、カムバックは遠のいてしまう。
そして何より、女性が一番伝えたかったことはそんなことじゃなかったはず。このようなコミュニケーションがなされたら、女性の心に「失恋のトラウマ」が残ってしまいます。
本当の心をもっと上手に表現したらいいのに。お節介にも心の中で彼女を応援していました。
長蛇の列は、いよいよゲートの中に入るところまで動きました。
女はさらに声を大きくして、最後の最後まで、男が見えなくなるまで、振り返りながら大声で叫び続けている。
「◯◯のことこれからも応援したい!」
「ワタシ、絶対絶対あきらめないから!」
あぁ...とんでもなく美しくない、感動的でない、別れ際になってしまった。
せっかく彼に印象を残す最後のチャンスだったのに!
ヒトゴトながら、とても悔しい思いを抱きました。 本当の気持ちをもっとうまく伝えることができれば、たとえフラれたとしても気分的にスッキリするからです。
伝わった感があれば悲しみが解放される
特に、相手と意見が違っているときや気持ちが離れている時、相手と自分の間でバランスを保ちながらコミュニケーションすることが、とても大切になってきます。
押して押して押しまくるだけのコミュニケーションは、相手を尊重していない証拠です。
相手を人として尊重する気持を持っていたり、相手の気持に触れながらコミュニケーション(言葉や言語以外)をとっていたら、こんな態度にはなりません。
この女性のやり方は、お相撲さんがドスコイっ!て相手を両手の平で突き飛ばしてるようなイメージの氣(force)の使い方です。
ドスコイ!と直球が来たら、かわしたくなるのが自然な反応です。
もし相手に自分の温かい気持を伝えたいなら、ドスコイ話法はやめましょう。
自分のハートから言葉が出てきて、まるで光のシャワーの様に相手のハートに届いて染みわたっているイメージで、心を込めてお話しをすると、たとえお別れの時であってもちゃんと自分の気持が伝わりやすくなります。
相手にちゃんと「伝わった」と感じられると、満足感が得られます。
この「伝わった感」の満足が得られると、いつまでも悲しい感情を引きずることがありません。失恋トラウマが残りにくいのです。
失恋は別れるから悲しいというより、「伝わらなかったから悲しい」という気持ちの方が大きい。
伝わらなかった悲しみ悔しさの方が、後味が悪く、悲しみが後を引きます。
ハートフル(←和製英語よ)なコミュニケーションをしたいなら、普段から相手を“男” “女”のカテゴリーでわける前に、一人の「人」ととして尊重する意識で過ごすこと。
そして、恋愛対象の相手を捕獲して首輪でつないでおこうとしないこと。
いつも鳥かごのカゴの扉が開いていると、鳥はカゴの中でくつろいでいるのです。
鳥かごの扉を閉めちゃうと、スキがあったら逃げ出したいって思ってしまうものなんです。
鳥かごの扉は開け放ったまま 相手を人として尊重し 自分の本当の心を言葉で上手に表現できるようになりましょう。
いきなりぶつけ本番を迎えたってうまくいきません。乙女の皆さん、普段から自分の心の中を言葉を使って表現する訓練をしていきましょう!
実践できる様になれば「別れ」は、悲しみの思い出ではなくて、やりきった感が残るよき思い出となっていきます。
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