MyファーストPCのなつかしい画像↑が発掘されました。「ゲートウェイ2000」という、今はなきアメリカ企業のものですが、聞いたことありますか!?
私が生まれて初めて買ったパソコンです。
まだまだパソコンの普及率が低かった90年代のある日、生まれて初めてパソコンを購入した時のストーリーにお付き合いいただけたら嬉しいです。
まずは写真の背景について
デジカメが流通する以前に撮影した「紙の写真」を全てデジタル化したことで、この懐かしい90年代に撮影された写真を、ほんとうに久しぶりに目にしました。
私にとって生まれて初めて飼った猫ちゃんも一緒に写っていたので、なおさらキュンとしてしまいました。PCスクリーンの隣でウィンクしてる猫のキリ♀は当時4歳ぐらいだと思います(21歳まで生きました)。
パソコン画面を見ると、どうやらエクセルで図を作成している途中のようです。右に無造作に置いてある教科書は、おそらく統計学かファイナンスの教科書かな?と。
宿題か何かの作業をしていたら、キリが「私を見て!」と言わんばかりに、PCスクリーンの横にどっしりと座ったので、それが可愛くて思わず写真を撮ったのだと思います。
猫ちゃんが座っているパソコン用のテーブルですが、これは人間工学的にめちゃくちゃ優れモノでした。
タイプする手の位置がかなり下なんですよね。この位置に手を置くと、肩が上がらないんです。だから肩こりしない。
そして、背筋をまっすぐに伸ばして姿勢良く座った時に、デスクトップの画面がちょうど目の前にくる高さなんです。
今はなき、初めて買ったPC用デスクでした。
現在も、いろんなグッズを使ってこの完璧な “高さ感” を再現しようと工夫しているのですが、なかなかここまで完璧な高さに設られません。
ゲートウェイ2000というパソコン
Gateway2000という会社は、大学生だった2人がアイオワ州で1985年に立ち上げた会社です(当初の社名はTIPC Netwark)。お婆ちゃんが出資者で、最初のオフィスは父親が経営する牧場の納屋の2階だった。
だから、パソコンを梱包している段ボールは上の写真↑のような白黒の牛さん模様なのです。「牛飼い魂」を忘れぬように、という意味があるとか。
「マニアが自宅で作るよりも安い価格でカスタムメイドのPCを販売」という売りで、必要なスペックを自分でカスタマイズして、電話で注文する形式でした。めちゃくちゃスピーディーな直販で、当時は飛ぶように売れていたと記憶しています。
無店舗なのでとにかく安い。パソコンの工場がサウスダコタ州のノース・スー・シティにあって、そこは個人所得税も法人所得税も無し!大幅な経費節減が可能で、他社より圧倒的に安く販売していたのです。
急いでパソコンを買った理由
Gatewayのパソコンを購入したのは、たぶん大学院に入りたてだった1994年。在米中でロサンゼルスで暮らしていました。
学校の近くにはIBM社があったのですが、社員の人が何人か同じクラスに居たので、「こんな優秀な人達と一緒にやっていけるのだろうか」と、緊張していたことを覚えています。
ある日、統計学の教授が「あ!次の課題を書いたプリントを持ってくるの忘れた!」と言いました。「ごめん、今から紙を回すからメールアドレス書いてくれる?課題をメール添付で送るから」と。
他のクラスメイト達はさらさらとメルアドを書いて次の人にまわしてる。私の頭の中は慌てふためいていました。自分のパソコン持ってない、メールなんてやったことない、メルアド持ってない!どーしよう。
90年代当時は、学校の課題は手書きで作成していたのです(信じられる!?)。だから自分のPCなんて持ってなかった。でもそんなこと、みんなにバレたら恥ずかしい。
一旦深呼吸して、対策を考えてみる。よしっ!
私は何食わぬ顔をして、教授のところに駆け寄りました。「メールアドレス忘れちゃったので、こちらからメールします。先生のメールアドレスを教えてください」と告げました。さらに「明日から他州に旅行に行く予定があり、先生にメールするのは3日後になります」と付け加えました。もちろん旅行は嘘です。
この3日間で、パソコンを買い→セッティングし→プロバイダに申し込み→メールアドレスを取得し→先生にメールを出す。これが瞬時に思いついた作戦でした。
カスタムメイドPCのセッティング奮闘記
帰宅後、すぐに優秀なエンジニアの彼氏がいる友人に電話して相談。彼氏さんのアレンがすぐ対応してくれました。
「ゲートウェイ2000のPCがリーズナブルでいいと思うよ。このスペックでこのオプションつけて」と具体的に買うべきものを教えてもらい、メモを取る。
なにせ、生まれて初めてのパソコンだったので、スペックの意味もよくわからないし、100%お任せで選んでもらった。
そして速攻でゲートウェイ2000のフリーダイアルに電話し、パソコンを注文しました。当時は24時間いつでもオペレーターが出て、何時でも注文できたのです。
お値段は、上の写真↑のチラシにあるように、2000ドルぐらい。90年代半ばは1ドル100円前後だったので、だいたい20万円ほどでした。
床に置くタイプのでっかいハードディスクと、分厚く大きなPCスクリーン、キーボード、がセットになっています。
エキスプレス配送を選択したので、電話した翌日に家に牛模様の段ボールが届きました。教授に「メールする」と約束した日まで残りあと2日。
この2日間はほぼ、ゲートウェイ2000のカスタマーサポートの人と喋りっぱなしでした。
PCのセッティングも、インターネットの通し方も、メルアドの取得も、何もかもわからないことだらけだから。「電話で質問して」⇨「自分で設定やってみて」、を繰り返しました。
あるとき、一人のカスタマーサポートの人と2時間ぶっ続けで話したことがあり、さすがに途中で「あのぉ〜、こんな長電話してて大丈夫?」と思わず聞いてしまった。「真夜中だし電話すいてるだろうし全然大丈夫だよ、教えるの好きだし!」と言ってくれて、さらに長時間話したことを覚えています。
そしていよいよメールアドレス取得!
パソコンには、AOL(America Online)というプロバイダー専用ソフトが内蔵されていた(たぶん)ので、簡単に済ませたくてそのまま申し込むことに。GUIベースでのコミュニケーションができる便利なプロバイダとして当時人気でした。(繋がってる相手がログインすると通知がいく仕組みが微妙にウザかったので慣れてから別のプロバイダに変えました)
メールアドレスの取得から試しメールを送るまで、カスタマーサポートの人が電話口で対応してくれたので、約束したとおりの日に教授にメールを送ることができました。
しかも返信メールで受け取った課題も終わらせ、期日に提出できました。
ものすごい達成感!!!!
これは絶対に周りのサポートがなければ成し遂げられなかったこと。
90年代のパソコンと通信機器
もうすぐ2024年。今は誰もがパソコンを持ってたり学校や職場で使っていたりする。小型パソコンとして使えるスマートフォンの普及率も相当高い。
90年代は、スマホなんて存在しない時代でした。当時の私が持ってた携帯電話なんて、黒電話の受話器よりもっと大きかったんです。真っ黒でデッカくてカバンになんか入らない。
そして、90年代はまだ限られた人しかパソコンを持ってなかった。30年も前のことだ。
そんな時代に、たった3日間でパソコン購入からセッティングそしてメール操作までできたのは、周囲の人々の助けがあったから。
ちゃんと話を聞いてくれて、ちゃんと教えてくれて、できるまで付き合ってくれたカスタマーサポートの人たちのことを思い出すと、今も感謝の気持ちでいっぱいになります。
そんな私も、今では「目と脳の健康のためにSNSの接続時間を減らしましょう」などと記事に書いたりしてる。
『過ぎたるは及ばざるが如し』という孔子の教えがあります。
「何事もやり過ぎることは、やり足りないことと同じくらい良くない」という意味で、中庸が大切ですよ、ということを例えた言葉。
近年ではスマホやパソコンによるゲームやSNS依存症が問題にもなっていて、病名までついたりしてる。
とはいえ、昔に戻ってパソコンや通信機器を “使わない” という選択肢は無い。絶対にないですね。
これからも人類は、ほどほどに中庸を意識しながらテクノロジーとお付き合いしていくのでしょう。そうでありたいと思います。
今後は「AI」が我々の世界でどのような立ち位置になるのかに注目ですね。セルフモニタリングしながら、自制心を忘れず、使いこなしていきましょうね。
*パソコンを長時間つかったら放電しよう⇨