桜が咲き始めた3月末、コーチングの父と呼ばれたルー・タイス氏は、私達にたくさんの大切なことを残し逝去されました。(1935~2012)
実子を持たず沢山の養子を受け入れ、さらに世界で活躍してゆくなかで接する人たちをみな我が子の様に受け入れてくださった、大きな大きな愛の人です。
世界60カ国3300万人に生きる知恵を提供してきたルータイス氏は”コーチングの父” と呼ばれていますが、”世界の父” の方がしっくりくる感じがします。
一緒に活動してきた中で印象に残ったルーの言葉
ルータイス氏から学んだ沢山のことの中でも、強く印象に残っていることがあります。
それは、ミーティング中に私達がうまく活動を拡大できずに焦っていた時に言われた一言です。
「気になっている人」が、
「気になっていること」を
すればいい。
対話中に、いつも “強烈に心に響くことば” を投げかけてくれるルー。このシンプルであり同時に深いメッセージを、真摯に受け取りました。
とかく、「大きな活動」や「目立つ行動」それから「社会から認められる事」をするのが良いように思ってしまいがちですが、ルータイス氏はそんな私達の盲点を見事に砕いてくださいました。
👨🦳「全部なにもかも自分達でやってたら、いくら時間があっても足りないよ。気になってる人が、気になってる所に届ければいいんだよ」
気になっている人が、気になっている所に
「気になっているところ(人)」があるということは、そこに心を注いでいるということです。
「心」が向いているところに対して何かを届ける活動をすると、真心のこもった行いができ、人々に貢献し幸せを届けることができます。
さらに、集中のエネルギーがあるので、エネルギーが分散している時よりパワーが出ます。
あまり気になってない社会問題、あまり気になってない類の人々、などにアプローチしようとする時は、そこそこのエネルギーレベルでしか行動できない。
だけど、日頃から「ここに対してこんなことをすれば好転するのでは?」「この人たちがこんなことに出会ったら最高ではないか?」と、日頃からなんとなく気になっているところや人々に対してアプローチしていくと、いつも以上のエネルギーレベルで活動が進んでいくのです。
「なんとしてでもやり遂げたい!」と、熱い思いが燃料になるからです。
何かの活動をしよう、仕事を頑張ろう、と思ったら大海原に向かって船を漕ぎだす為に「いかにしてエネルギーを集中させるか」を考えることはとても重要です。
そうルータイス氏が教えてくださいました。
*メキシコ🇲🇽美しい海ルー・タイス氏の別荘にて⇨
エネルギーが分散されて力が出せない状況とは
例えば、「世界平和」という様な大きくて抽象度の高い目標を掲げている方の場合、目標が広すぎて気持ちが分散してしまいがちになります。
着実な一歩を踏みしめながら活動するには、一番気になっている所に対してピンポイントで注力を向けて活動していくと、大きな力となって、うまくエネルギーが拡大していきます。
「他人から認められるような事をやろう」とか、「でっかい事をするんだ」という、他人目線よりな方向に意識が向き過ぎると、力が分散してしまいます。
ときどき同業者を批判している人をみかけたりすると、このルータイス氏との対話を思い出します。
個人事業主や最近流行のお一人様会社それから治療院など、ほとんどの個人経営をしている人は、それなりにこだわりがあって、そして社会に届けたいことがあって、開業しているわけですから、独自のフィロソフィーをお持ちです。
だからこそ、似た様なコンセプトだけど微妙に違う考え方の人とか、自分のポリシーにあわないレベルの低い事を言っている同業者などを見るとイラっとし、批判してしまう。
「自分の知識や自分が提供しているサービスが世界で一番!」と、自分の中で思っていたり、公言したりすることは良いことだし、必要なことです。
けれど、一人一人はまったく違う「視点」を持っていますので、他の人の発している事にたいして、批判してもまったく意味の無い事であり、無駄なエネルギー浪費になります。
ただ単に、「気になっている人」が「気になっている」ことをしているに過ぎないのです。この視点が得られたとき、無駄なところでエネルギー消耗しなくなります。そして、これまでより10倍パワーアップした様に感じることでしょう。
例え、他人が提唱していることの説明文が幼稚で意味不明だったり、まったくコンセプトを理解してないじゃん、と思ったとしても、それはそれで世の中には必要な人であり必要な発信なのです。
その人が気になっていることを、気になっている人に向けて、気になってることを発信しているだけなのです。それはその他の人には関係ないこと。
独自性を尊重しましょう。自分が自分の独自性を重んじることができていれば、他人のやっていることにそこまで気にならなくなるでしょう。
同業者を批判する人は「自分の事業内容は素晴らしく説明文章も上手で、サービス内容も卓越したものだ」と主張するかもしれません。
しかし、そんな文章は例えばお婆ちゃんやお爺ちゃんには理解しにくいかもしれません。
逆に「ちょっとおバカ的な感じだけどなんとなく雰囲気が伝わってくる」と受け止める人もいるわけです。そんな文章やプレゼンならば、どんな年齢層の人でも、どんな知識レベルの人でも理解しやすいかもしれません。
*ルー・タイス氏の別荘🇲🇽ミーティングの様子⇨
人間という社会的な動物が満足感を得るとき
人は社会的な動物です。世の中は相互作用でできています。一人一人が「気になってること」に対して、サービスを提供したり活動を起こしたりすることで、他の誰かのためになります。
そして、人と人が見えない糸でしっかり繋がっているネットワークができる。理想的な社会ですね。
どんな事でもいいから自分が「気になること」に対して、働きかける。
人がしている事に気をとられず、人からどう思われるか?も気にせず、ひたすら自分が「気になること」に注力を注ぎ続ける。
そうすることで、虫眼鏡で光を集めた時のように情熱の炎が湧いてエネルギーも強まります。
そのことを教えてくださったのも、生きたお手本を見せてくださったのも、コーチングの父「ルータイス氏」でした。
本当にありがとう。
これからもずっとずっと、ルーが与えてくれた愛と知識とパワーは、みんなの心の中で永遠に生き続けることでしょう。
*ルー・タイス氏の日本講演:来年の夢を語る⇨