シェークスピアの『真夏の世の夢』の中にも出てくるように、多くのイギリス人は大人になっても「お庭に妖精がいる」って、信じているのだそうです。
小さい頃、大人達から「お庭には妖精が住んでいるんだよ」と聞かされ、子供達は妖精と一緒に育ってゆくようなものだ、とイギリス人の庭園デザイナーの先生がおっしゃっていました。
ちなみに先生は男性です。奥様とお子様と日本で暮らしておられて、元々は建築士でしたが、庭が大好きでランドスケープデザイナーに転身した方。
この記事の写真に出てくるお庭をデザインされた先生です。妖精がひょっこり現れそうな、素敵なガーデンです。
イギリスのお庭にいる妖精ってどんなの
「妖精は自然の中に存在する。なぜならば、お庭にお花が咲いているから!それが証拠!」と先生談。
なんでも天使と違って妖精は、人を助けるのではなく、いたずらして人間を驚かせるのが好きなんだそうです。
人間にはいたずらをするけれど、お庭をきれいにしたりお花を咲かせたりするお手伝いをしてくれるんですって。
午後のお茶タイムとかブレックファーストなどで、何かと庭で過ごす事が多いイギリス人。「これ妖精の仕業だね」という言い回し、会話の中でよく出てくるのだそうです。
例えば、朝起きて葉っぱが丸まっていたら「毛布がわりに妖精がくるまってたんだね」と言う。
マッシュルーム(妖精のイス)が輪になって生えていたら「妖精たちの会合があったんだね」と言ったり。
落ち葉がたまたま小さなお家みたいな形になってたら、「妖精のしわざだね」といった具合に。
それぞれの花にそれぞれの妖精がいる
それぞれのお花には、それぞれの妖精がいるという。
その妖精たちの姿は、19世紀に生まれた挿絵画家であり児童文学者であるシシリー・メアリー・バーカー (Cicely Mary Barker)によって、生き生きと描写されています。
彼女が描く妖精の絵はイギリス人のハートの中に生きています。
シシリーさんの絵はラファエル前派の影響をうけており、幻想的な妖精の絵というよりも、植物がリアリスティックに描かれていて、子供達と植物の自然な描写が美しい作品です。
生前のシシリーさんは、とても内気な性格だったので、外の大人の世界とは隔絶して、家族に守られる生活を続けながら、作品を描き詩をしたためておられたそうです。
そのため、彼女のつくる詩は、純粋さと無垢の要素が特徴です。
イギリス人である先生のお婆ちゃんが、日本に住む孫の為にわざわざシシリーさんの本を送ってきてくれたそうで、私たちにも見せてくれました。
1ページ1ページに心惹かれる素晴らしい絵本でした!こちらの本です↓
『The Complete Book of the Flower Fairies』
花とそれぞれの妖精の姿と、詩が添えられた「妖精図鑑」。すべてのページに絵と詩が織り交ぜてあります。B5サイズ英語版。
日本語でも絵本が出ていますが、今はとても貴重なものになっているようです。
『フラワーフェアリーズ (花の妖精たち 愛蔵版)』
すかし絵のような妖精の絵があちこちにあります。シシリーが身近な草花や近所の子ども達をモデルに生み出した「妖精」のイラストと、詩のすべてを一冊にまとめた絵本です。
色彩や仕掛けの繊細さが素晴らしい。シシリーさんが描いた100枚のポストカード。
『Flower Fairies One Hundred Postcards』