我が家では、ヨーロッパで自然療法を取り入れる医師が使う「生体フィードバック」による検査方法を利用して、犬や猫の健康維持をしています。
いつもと違う様子をみせたり、症状が出た時は検査しておおかたの原因をつきとめ、今後の方針を考えます。
それとは別に、動物なので人間と組成が違いますから、獣医さんには必ず診てもらいます。
老猫の場合は、かなり大変でした。
出ている症状が、体内で起っている様々な障害の複合として、現れているからです。
老猫の症状はさまざまな体調変化の複合
先ほど、ホリスティック獣医師の先生とのメールを読み返してみましたが、改めて先生の診断の素晴らしさに敬服してしまいました。
老猫には、加齢性の慢性腎不全による腎臓からの排泄障害が一番の問題と思われがちですが、他にも複合的にいろいろ問題が出てきます。
腎臓や肝臓の機能が落ちてきて、痩せてくる。こればかりは仕方がない事なので、低タンパク質の食事で、腎臓の温存をしていくことになります。
もしも同時に甲状腺機能亢進症が起ると、それ専用のフードを与えなくてはなりません。でもその専用フードは、高タンパクなので、腎臓に悪いのです。
非常に難しい選択を強いられます。
先生の提案で「それじゃぁ、甲状腺機能障害のフードを与えつつ、腎臓の働きを助けるチャコール(炭)を与えてゆきましょうか?」、ということになった。
ところが、2週間後くらいに何となく容態が悪くなってきたので、生体フィードバックで検査してみると、炭への「不耐性(体が受け付けられない状態)」が出てしまっていたことが発覚。
そんなこともありました。
老猫には、腎不全から来る“貧血”もおこります。また、老化によって腸内細菌のバランスが変わり、消化吸収が悪くなるので、エネルギー不足に陥ります。
特にアミノ酸は体に蓄えることができないため、脳の神経伝達物質が不足して、精神異常をきたす、と先生から教えていただきました。
(メラトニンが必要だった時もありました)
ただ動物の場合の“行動パターン”の変化は、ホルモンの影響が大きいとのこと。
ホルモンの問題はぶりかえすことが多いので、薬を使うこともあるそうですが、残念ながら腎不全がある場合は薬の投与は非常に腎臓に負担をかけるため、安易にできません。
この様に、さまざまなことが複合的に重なっているため、老猫のケアーは非常に大変です。
とはいえ最も重要な健康の目安は、やはり「ウンチ」が出ているか否か。これにつきます!
ウンチが出ない原因は、上記に連ねたさまざまな内臓やホルモンなどの機能障害によるものの複合です。
また、水分不足のため脱水症状だとウンチが硬くなるので、出せません。
キリの場合は、最後まで浣腸や指を入れて出すことなく、自力で出すことができていました。(旅立ちの朝も、昏睡状態の中ウンチを自力で出せました)
「入れる」&「出す」
の繰り返しが生命なんですね。
「入れる」ものは、質の良いものを。入れたら、消化吸収して身になるように。
「出す」ことができない場合は、出す努力が必要。たとえば、運動もその1つ。
老猫のお世話をしていた人の中には「ちゃんと面倒をみてあげられなかった」と後悔している方が時々おられます。
でも、ちゃんと面倒をみてあげられる人は皆無なんです。何をもって「ちゃんと」とするのか、も曖昧です。
ここまで老化による不調の要因が、スパイラルのように複合的になってくると、本当に大変だし、ましてや西洋医学の知識だけではサポートしきれないでしょう。
ですから、老猫の飼主さんに後悔や罪悪感はこれっぽっちも必要ない、と私はおもいます。
いつも一緒にいてあげられて、手の平でなでて、話しかけて。きっとそれが、一番して欲しい事なのではないでしょうか。
キリの場合は、たまたま我が家がマニアックな家族だったこともあり、長生きしましたけれど、そのぶん色々とニャンコ的な苦労もあったのではないかと思います。
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